2008年06月20日

反日感情が反政府感情に変わった瞬間

中国の反日愛国主義サイトに批判殺到 東シナ海ガス田共同開発合意で(産経)

 【北京=福島香織】日中両国政府が東シナ海ガス田の共同開発に合意したことについて、中国民間保釣(尖閣防衛)連合会などインターネット上の反日愛国主義サイトの掲示板に、抗議デモを呼びかける書き込みが相次いでいる。「売国協議に署名した」「そんな統治者なんかいらない!」と内容は過激。中国共産党の指導者を名指しで批判するなど、原則的に党に忠実な愛国的民族主義青年こと「憤青(怒れる青年)」がここまで党批判の言論をとることは極めて異例だ。

 中国民間保釣連合会の掲示板には19日、「大規模学生抗議デモに立ち上がれ」と題して、「小泉(元首相)に抗議していた熱血青年たちはどこにいった? 君たちの国家利益は政党にさっさと売っぱらわれた!」といった党批判を含む抗議が書き込まれた。さらに「国家利益を顧みない統治者なんかいらない」「われわれは統治者を選択する権利はないが、奴隷にはならない。国は売らない」「腹の立つことに、東シナ海に関する掲示板は(言論統制で)みな封鎖されている」「福田を中南海(北京の政治中枢)に来させて、hu(胡錦濤国家主席)とwen(温家宝首相)を彼の子分皇帝にしろ」と中国の現政権を名指しで批判し、同連合会に大規模デモを組織するよう要求している。

 こういった激しい書き込みは、「中国918愛国フォーラム」や「愛国者同盟ネット」などにも殺到。最近の胡錦濤政権の対日重視外交にいらだちを募らせていた憤青の怒りが一気に爆発したかっこうで、このままでは世論の人気に支えられてきた胡錦濤政権の基盤を揺るがしかねない勢いだ。

 大規模デモの呼びかけについて、中国民間保釣連合会の童増会長は「今は会議中でコメントできない」としており、対応を慎重に協議しているようだ。





 この記事を読んで私は、浦沢直樹の「MONSTER」の作中に出てくる絵本「なまえのないかいぶつ」の

「ぼくをみて、ぼくをみて、ぼくのなかのかいぶつがこんなにおおきくなったよ」

というセリフを思い浮かべてしまいました。ここで言う「かいぶつ」とは、もはや中共にもコントロールできなくなってしまった中国人民の反日感情のことです。

 反日感情が政府批判に転じてしまっているこの事態は、まさしく中共が最も恐れていた事態でしょう。最近の中共は、必死になって反日感情が高まり過ぎないよう努めていましたが、ついに抑えきれなくなっているようです。まさに、大きくなりすぎた「かいぶつ」が、おなかが空きすぎて「バリバリ グシャグシャ バキバキ ゴクン」と中から中共を食べてしまう寸前なのかもしれません。

 これは江沢民時代に行われた徹底的な反日教育の賜物なので、中共の自業自得と言うほかありません。若者たちの目を民主化の流れから遠ざけるために反日を利用したわけですが、さすがにやり過ぎましたね。今回のガス田合意は、日本側から見たらまだまだ十分とは言いがたい代物なのに、中国のネット住民はそれすらも許容できない狭量な人々に育ってしまいました。

 中共も大いに困り果てていることでしょう。静観に徹すると反政府的な書き込みを野放しにすることになるし、だからと言って取り締まれば「愛国心に燃える我々を逮捕するとは何事か!」と、さらに政府批判が高まる恐れになる。どっちに転んでも中共にとってはまずい展開なわけで、まさに「反日のパラドックス」に陥ったと言ってよいでしょう。

 中国のネット上で、堂々と胡錦濤や温家宝らを名指しにした政府批判ができるようになっていることは画期的です。しかし、仮にこれが中共を倒す動きにつながるとしても、その引き金が反日にあるのは日本にとってあまりよいことではないかもしれません。まあ、中共が倒れてネット規制がなくなった後に、彼らが世界の正しい情報に触れて中共による洗脳が解ければいいんですけどね。洗脳から抜け出せたとき、中国人は真の自由を手に入れることになると思います。


posted by atsu at 23:39| 東京 🌁| Comment(2) | TrackBack(0) | ニュース−国際 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
日中共同開発については、日本国内の自称ネット右翼はいざ知らず、中国からこんなに反論が出てくるとは、正直思っていませんでした。
もっとも健全なナショナリズムとは到底言い難いですが、中国共産党を崩壊させる策略だったとするなら、まさに「骨を切らせて肉を絶つ」非常に面白そうな手だとは思います。
って、日本政府がそんな高度な手を使えるとはちっとも思って居ませんから、そういう皮肉も言えるのですけれどw
Posted by 佐倉純 at 2008年06月21日 11:56
>佐倉さま

日本外交にはそんな高等テクは無理でしょうね。
でも、これまでは愛共産党精神一辺倒だった中国人民が、党に逆らってでも国益を考えるようになったのは進歩なんでしょうかどうでしょうか。
Posted by atsu at 2008年06月22日 09:11
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