「サウンドロゴ」は著作物? 作曲家が住生提訴(朝日)
2006年01月04日15時35分
「すみともせいめい〜」という約2秒半のCM用「サウンドロゴ」をつくった作曲家が発注元の住友生命に対し、著作権の存在確認や使用料と賠償金計500万円の支払いを求める訴えを東京地裁に起こした。「サウンドロゴ」はCMで企業や商品の名を印象づける短い音楽。住友生命は「サウンドロゴは著作物ではない」と主張し、作曲家は「短くても独立した音楽作品」と反論している。
訴えたのは生方(うぶかた)則孝さん(46)。「内容の無い音楽会」などの作品を制作する一方、「三井のリハウス」(三井不動産販売)のサウンドロゴ制作などでも知られる。
住友生命のサウンドロゴ制作を受注したのは86年。女声四重唱で「住友生命」と歌う約2秒半の音楽で制作費は15万円だった。契約書は交わさなかったが、生方さんによると、当時の相場では1年間使う場合の報酬の約2倍だったといい、3〜5年間は使われるのだろうと思ったという。
だが、このサウンドロゴは87年から95年まで8年間使われ続け、さらに一昨年4月、ほぼ同じメロディーで別の音楽家が編曲し直したロゴ入りのCMが再登場した。
生方さんは住友生命に協議を申し入れたが、昨年6月に同社が断ったため提訴に踏み切った。「CM音楽業界では制作者の権利がないがしろにされがちで、誰かが声を上げないと改善されません」と話し、「短い秒数で印象的に訴えるには経験と技術が必要です」と独自性を主張している。
住友生命調査広報部は「訴状を確認していないのでコメントできません」としている。サウンドロゴについては「6月の時点で著作権に詳しい複数の弁護士に照会しましたが、『漢字4文字の社名を歌っているだけで創造性はない』という見解でした」といい、著作物とは考えていないと話している。
音楽著作権に詳しい荒竹純一弁護士は「サウンドロゴを著作物とみなすかどうかについての判例はなく、極端に短いメロディーは他の楽曲の一部と一致しても不思議ではありません」とし、権利を広く認めることには慎重な姿勢だ。
一方、「青春時代」などのヒット曲で知られ、数多くのCM音楽も手がけた作曲家森田公一さんは「作曲は短いほど難しい。長くしゃべるより短い言葉で核心を突く方が難しいのと同じです」と話す。森田さんが約30年前に作った明治乳業「明治ブルガリアヨーグルト」のサウンドロゴは今も使われ、同社ウェブサイトで作曲者として楽譜つきで紹介されている。
これだけJASRACが幅を利かし、音楽著作権に小うるさいこの日本なのに、サウンドロゴってのはずいぶんと軽視されているものなんだね。いくら短い曲とはいえ、約20年も使っている音楽がたったの15万円で買い叩かれたっきりそれまでとは。キャッチコピーですら著作物と認められるこの時代に、サウンドロゴは未だに安い扱いを受けているんだなぁ。
住友生命が、自社の社員にこのサウンドロゴを作らせたのなら別にいい。だけど、これを作曲したのは外部の人でしょ? 契約書も交わしていないという時点でこの作曲家さんも脇が甘いとは思うけど、一回金を払っただけで20年も使えちゃうものなんだね。サウンドロゴの出来がいいから住友生命もこんなに長く使っているんだと思うけど、こんなことがずっとまかり通ってきたとすればCM作曲家って人たちも大変だよね。普通なら、自分の作った曲が使われれば使われるほど使用料が入ってくるのが当たり前なのに。
住友生命側もあんぽんたんな回答を寄せているよね。「漢字4文字の社名を歌っているだけで創造性はない」って言ってるけど、問題にされているのは歌詞じゃなくてメロディーのほうだから。そりゃあ「住友生命」っていう社名には創造性がないだろうけど、「ミミミミラファソ♪」っていうメロディーには創造性あるっしょ。簡単なようでいて、この手の短い曲は誰にでも作れる代物ではなくってよ。
朝日の記事中にも出てくるけど、「明治ブルガリアヨーグルト♪」のサウンドロゴを作曲した人ってのもすごいよねぇ。日本人なら、多くがこの曲を口ずさめるはずである。未だに古さを感じさせない曲だと思うけど、もう30年も使われているとはびっくりだ。素晴らしいサウンドロゴってのは、何年経っても陳腐化しないものなんだね。「明治ブルガリア用具入れ♪」って嘉門達夫に替え歌にされているくらいだからなぁ。
こういうものは、長いとか短いとかの問題じゃないと思うんですがね…。