2006年03月11日

どうせ反論するなら、もっと堂々とやったらどうか

典範会議・岩男氏、寛仁さま発言批判 「時代錯誤」(産経)

 政府の「皇室典範に関する有識者会議」のメンバーである岩男寿美子・武蔵工大教授が、自身が編集長を務める海外向けの英文雑誌「ジャパンエコー」二月号に寄せた論文で、女系天皇に異論を唱えた寛仁親王殿下を「時代錯誤の考えには、驚くしかない」と強く批判していたことが十日、分かった。岩男氏はまた、寛仁さまが側室制度導入は「難しい」としているにもかかわらず、「側室制度を提案してきた」と事実と異なることも記述している。

 「ジャパンエコー」は海外向けに、英文で日本の論壇の論調などを紹介する隔月刊誌で、編集会議には外務省職員も参加。在外公館を通じ、欧米など各国の大学や研究機関に配布している。

 岩男論文は「日本の皇位継承者」と題し、「二〇〇五年十一月は、日本の皇室にとって二つの大きな進展のあった月だった」と書き出し、有識者会議の報告が提出されたことを自賛。メンバー構成や報告書の内容、反響などを紹介している。

 この中で、寛仁さまについて「天皇のいとこで、女性が皇位を継承できるようにすることについて疑問の声を上げ、旧宮家や皇室の側室制度の復活を提案してきた」と指摘。さらに「彼の時代錯誤(anachronism)には驚くしかない」と批判している。しかし、寛仁さまは昨年、福祉団体の会報に寄せたエッセーで、側室制度に触れてはいるが、「国内外共に今の世相からは少々難しいかと思います」と記され、「提案」したわけではない。

 また、岩男氏は、短期間で結論を出した有識者会議の議論に「拙速だ」との指摘があることにも「奇妙な反対論だ」と反論している。その理由として「この問題は実は有識者会議の設置に先立つ七、八年前から内閣官房内のグループによって研究されていた」と明記した。有識者会議が事実上、先行する政府の非公式研究を下敷きにした「結論ありき」の存在だったことを認めた形だ。
                  ◇

 【海外向け英字誌に寄稿】

 二〇〇五年十一月は、日本の皇室にとって二つの大きな進展があった月だ。まず、プリンセス清子の結婚があり、もう一つは「皇室典範に関する有識者会議」の報告書が提出されたことだ。

 提示された改正点は、継承者を男系男子に限定した現行制度の維持を主張する陣営から強い抵抗を受けている。だが、この男系継承を可能にしたのは、以前の制度で天皇に側室が置けたからだ。これは今日、賛同を得られるものではない。

 奇妙な反論がある。それは、こんな重要な問題で、一年以内に結論を得るというのは拙速すぎるというものだ。しかし、この問題は実は、われわれの有識者会議の設置に先立つ七、八年前に、内閣官房内のグループによって研究されていた。

 もう一つの反対論は、われわれが皇族の意見を聞かなかったというものだ。しかし、天皇も皇太子も立場上、この問題に関しては意見を表明しないと示している。天皇のいとこであるプリンス寛仁は、女性が皇位を継承できるようにすることに疑問の声を上げ、旧宮家や皇室の側室制度の復活を提案してきた。彼の時代錯誤の考えには、驚くしかない。(要旨、原文は英文)





 左のアマゾンアフィリエイトでも紹介しているが、現在『「女系天皇論」の大罪』(小堀桂一郎 櫻井よしこ 八木秀次共著・PHP研究所刊)という本を読んでいる。「皇室典範に関する有識者会議」が打ち出した女系天皇論が、いかに多くの問題をはらんでいるかを適格に指摘しており、実に分かりやすい。もうすぐ読み終わるが、このご三方の皇室に対する深い尊崇心と知識の豊富さには改めて敬服する。

 本の中で、著者らは「有識者会議」のデタラメぶりについても「傲岸不遜」「まるで第二のGHQ」「権力に迎合する御用学者ばかり」などと厳しく批判しているが、今回の岩男氏の論文は、まさにそれを裏付けるものであろう。彼女の意見を読めば、寛仁殿下のご発言を受けた吉川弘之ロボット博士が「どうということはない」と一蹴したのも無理はないことと思える。それほどまでに、「有識者会議」のメンバーは皇室に対する敬意を持ち合わせていないのだ。

 さらに腹が立つのは、岩男氏の論文が海外向けの英文誌で発表されていることである。自分が編集長を務めている雑誌なんだからいいじゃないかという意見もあるだろうが、このような発言を日本人の目に触れにくい媒体で行い、かつ外国に寛仁殿下に対する誤ったイメージを流した罪は大きい

 殿下に対する反論・批判は自由だが、だったらせめて同じ土俵に上がるべきじゃないだろうか。殿下の意見を載せた、「文藝春秋」なり「正論」なりに寄稿するのがいちばんふさわしいが、敵の陣地に乗り込むのが嫌なら、「論座」でも「世界」でも、自身のHPやブログでもいい。しかし、海外向け雑誌への掲載というのは、どう考えても卑怯である。事実、産経が報じなければ岩男氏の意見は日本国民に届かなかったわけで、男系維持派や寛仁殿下からの反論を恐れているからではないかと勘繰られても仕方ないと思う。

 まあ、その点から言っても産経はナイスプレーである。岩男氏が、「研究は七、八年前から行われていた」と自爆発言していることまで暴いてくれたのには大いに意義がある。この、ある意味自供とも言える岩男氏の発言は、この先「有識者会議」の問題点を問う上で貴重な言質となることだろう。

 ここでひとつ、「有識者会議」の皆さんに提案なのだが、岩男氏も潔く認めたわけだし、この際あなた方の正式名称を

「女系天皇を容認するためだけの無識者会議」

に改めてはどうだろうか。政府が決めたシナリオを追認しただけの皆さんには、そろそろ「有識者」などという肩書きを返上して頂きたい。ご検討して頂ければ幸いである。

岩男寿美子−ウィキペディア
posted by atsu at 18:57| 東京 ☀| Comment(3) | TrackBack(3) | ニュース−社会 皇室 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
愛子様たちが、結婚することすら困難なような気がしますね。お世継ぎ様がどうのより、結婚が難しいんですよ。もう、どんどん血が濃くなっていきそうですよね。女の子ばっかりですよね。歳とって産むと女の子が生まれやすいって聞きますけど。でも、今回の御懐妊は、皇室のアピールだと思ってますけど・・。もしも、男の子だったら!
私はひとりしか授からなかったものですから、雅子様のことを考えると、つらい気分になります。atsuさんの言われている内容とは関係アリマセンが・・・。
Posted by ラテラテ at 2006年03月12日 15:05
>ラテラテさま

仰るとおり、愛子殿下が天皇になることになれば、結婚は自ずと難しくなりますよ。
皇族の身分を離れる内親王ですら結婚には苦労なさるんですから、天皇の夫になろうとするような男性が現れるとは思えません。
旧皇族の男系男子を愛子殿下の夫に据えるのはアリだと思いますがね(旧皇族には、現在2歳の男系男子がいらっしゃいます)。

雅子妃殿下ですが、紀子妃殿下のほうに男子が誕生すれば、むしろ気が楽になるのではないかと思います。
これまでは、自分が絶対産まなければならないというプレッシャーを感じてらしたでしょうが、その必要もなくなりますからね。
別に、天皇になれない愛子殿下が不憫だとかは思わないと思いますよ。
元々皇族は、直系にはそれほど固執していませんしね。
Posted by atsu at 2006年03月12日 21:28
よく有識者と言われますが、何をもって有識者なんでしょうね。
こういう方々こそ、もっと見聞を深めてもらって、より客観的な立場に立った議論をして欲しいですね。
Posted by 悩める河童 at 2006年03月13日 20:31
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック

ジャパンエコー社に質す
Excerpt: 本日、産経新聞他のマスコミから、 政府の「皇室典範に関する有識者会議」のメンバーである岩男寿美子・武蔵工大教授が、自身が編集長を務める海外向けの英文雑誌「ジャパンエコー??
Weblog: 釣りキチおやじの言いたい放題
Tracked: 2006-03-12 01:38

有識者ねぇ〜?
Excerpt: こんばんわ、super_xです。 お隣の、お馬鹿な整形大統領の御用達紙が日本のことを書いていたので… それをエントリーしようかと思っていたら… いやぁ、あの皇室典範改正の有識者っていうのは..
Weblog: SUPER-X.COM
Tracked: 2006-03-12 04:41

なぜ私は女系天皇に反対なのか六
Excerpt: 旧暦二月十二日。如月きさらぎ、桜はじめて開く。 本日は「文藝春秋」平成十八年二月号、寛仁親王ともひとしんのう殿下の「なぜ私は女系天皇に反対なのか」から六回目。 今次の「女系天皇容認男系天皇放棄問題」は..
Weblog: 川村けんとの「いい加減にします」
Tracked: 2006-03-18 19:27
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。