駅間5キロ…最速新幹線「みずほ」も各停?九州自治体が綱引き(産経)
来年3月に全線開業する九州新幹線鹿児島ルートの停車駅をめぐり、JR九州に沿線自治体から「わが駅に停車を」と要望が相次いでいる。山陽新幹線を運行するJR西日本は「停車駅を減らし、航空機に勝てる新幹線を」との姿勢を崩さない。JR九州は、地域の熱意と対航空機競争との狭間(はざま)で苦しんでいる。(小路克明)
■久留米vs新鳥栖
九州新幹線「さくら」の歓迎式が2日、久留米駅(福岡県久留米市)と新鳥栖駅(佐賀県鳥栖市)で行われた。楢原利則・久留米市長と、橋本康志・鳥栖市長は異口同音に「1本でも多くの停車を目指して努力する」と語った。
両駅間はわずか5キロ。停車駅の綱引きはまさに真剣勝負だ。
楢原市長は「久留米駅は在来線との併設駅で、連結がいい。また(人口約30万人の)久留米の規模もJRに考えてもらえるよう今後も要望していく」と話す。
一方、高速道路の東西南北を結ぶ鳥栖ジャンクションを抱え「九州交通のクロスポイント」を標榜(ひょうぼう)する鳥栖市。橋本市長は「長崎県を含めた後背地人口を考えてもらいたい」と訴える。
将来の九州新幹線長崎ルートをにらみ、佐賀県の古川康知事は「鹿児島ルートという縦軸に対し、横軸の効果をもたらすため、大分や長崎にも声をかけている」と、長崎県との“共闘”を強調。
佐賀、長崎両県は8月、合同で新鳥栖駅停車をJR九州に要望した。
■同床異夢の4県
「九州新幹線建設促進期成会」を構成する福岡、佐賀、熊本、鹿児島4県は歩調を合わせ、JR九州に「利便性の高い運行ダイヤ」などを要望しているが、思惑は別だ。
特に、新大阪〜鹿児島中央を約4時間で結ぶ「さくら」と、3時間47分で結ぶ計画の最速新幹線「みずほ」の停車駅やダイヤをめぐっては意見が異なる。
「みずほ」は博多、熊本、鹿児島中央の3駅だけに停車する可能性が高い。熊本市の幸山政史市長は「みずほが熊本〜新大阪間3時間を切れば、関西方面に与えるインパクトは大きい」と大歓迎。これに対し、佐賀県の古川知事は「みずほ」についても、新鳥栖停車を求めていくとしている。
■JR九州は板ばさみ
JR九州によると、今年9月1日までに寄せられた停車駅や利便性に関する要望は34件にのぼる。
しかし、航空機との競争を勝ち抜くため、JR西は九州新幹線の「時短」を強く主張している。
沿線自治体からは「(停車駅を減らしたい)JR西に対し、JR九州はがんばってほしい」とエールも送られるが、JR九州幹部は「新幹線について実績を持つJR西の意向は無視できない」と板ばさみに苦しんでいる。
九州新幹線鹿児島ルートのダイヤ、停車駅は年末にも発表される。
我田引鉄ならぬ、「我田停鉄」とでも申しましょうか。せっかくの新幹線なのに、その速達性が失われるような争いが行われているようであります。
私としては、「みずほ」も「さくら」も熊本以外ノンストップでいいと思うんですよね。他の駅は、各駅タイプの「つばめ」がカバーすればいいじゃんと。まあ百歩譲って「さくら」は何本かに一本くらい新鳥栖に停めてやってもいいでしょうが、「みずほ」はノンストップ以外あり得ないです。大阪と鹿児島を最速で結ぶという使命があるのですから。
もちろん、新鳥栖と久留米両方に停車なんてのはあり得ないですよ。新鳥栖〜久留米間は駅間距離が5.7キロしかないですが、これは東京〜品川間より短い距離です。東京〜上野間の3.6キロに次いで新幹線の駅間距離としては2番目に短いのです。博多南線の博多〜博多南間より短いんだから、こんなところにチマチマ停めてたら在来線並みのスピードになってしまいますよ。
新鳥栖と久留米のどちらかに停めるとすれば、交通の要衝たる新鳥栖でしょうな。久留米は確かに大きい街だけど、快速に乗れば30分台で博多に行けるんだから我慢しなさい。それにJRだけじゃなく西鉄という選択肢もあります。長崎方面への乗り換え機能がある新鳥栖のほうが、駅としては重要です。
しかしねえ、私としては新鳥栖にも多くは停めてほしくないですよ。JR九州に提案なんですが、いっそのこと博多で乗り換えても新鳥栖で乗り換えても同じ「かもめ」になっちゃうようなダイヤ組みません? 新鳥栖で乗り換えると新幹線の特急料金が余計にかかる上、待ち時間が長くなるだけですよということにすれば、みんな博多で乗り換えると思うんですけどね。そうすりゃ佐賀県の人も「さくら」「みずほ」を停めろと言わなくなるでしょうから。
長崎や佐賀の人は、博多が最終目的地であればわざわざ新鳥栖なんかで乗り換えないはずです。乗り換えたところで短縮効果はわずかだし、それだったらそのまま乗って行ったほうが楽ですから。だから本当はね、新鳥栖駅だって要らないんですよ。長崎ルートのために在来線へのアプローチ線を分岐させなきゃいけないんでしょうが、信号場でも十分だと思います。
ま、JR九州がどんなダイヤを出してくるか、楽しみではありますね。