靖国神社:遊就館の記述修正 米国の批判に配慮−−アジア関連変更せず(毎日)
靖国神社の最高意思決定機関である崇敬者総代会が5日開かれ、神社内の戦史博物館「遊就館」の展示のうち、米国から批判が出ていた第二次世界大戦の米国関係の記述を見直すことを決めた。10月中に修正文を作成し、年内をめどに展示を変更する。一方、中国や韓国などアジアの国々から「侵略戦争の認識が欠けており、アジアの独立を促したと正当化している」などと批判されている展示については、今のところ見直さない方針だ。
変更するのは、大戦時の世界情勢に関する「ルーズベルト(米大統領)の大戦略/(不況下の)ルーズベルトに残された道は資源に乏しい日本を禁輸で追い詰めて開戦を強要することだった。(日本の)参戦によって米経済は完全に復興した」との記述。米側が反発し、7月にはシーファー駐日大使やアーミテージ元国務副長官もこうした歴史観を公然と非難した。
国内でも首相参拝支持の代表的論客である岡崎久彦・元駐タイ大使が8月24日付産経新聞に「遊就館から未熟な反米史観を廃せ」と寄稿。南部利昭宮司らは即日、岡崎氏を招いて意見を聞いた。
神社は軍事史専門家らと協議。タイトルを「ルーズベルトとアメリカの大戦参加」と改め、「開戦の強要」「米経済の復興」の表現を削るほか、日本を侵略的と非難したルーズベルト演説を新たに盛り込むなど、米側に配慮した変更案をまとめ、5日の総代会に報告。了承された。
総代からの「中国関係の記述も見直しを検討するのか」という質問に、神社側は「今のところ具体的な指摘がない」と回答。実際は昨年11月、劉建超・中国外務省副報道局長(当時)が「軍国主義を美化する靖国史観の中心施設」と批判している。
神社側は「来年7月の開館5周年に向け、英霊顕彰の観点からの見直しも検討する」と説明。関係者は「侵略行為を認めるのは英霊顕彰にふさわしくない」としている。【田所柳子、野口武則】
実に残念なニュースである。
私は、9月17日のエントリで軽くこの動きに触れておいたが、岡崎氏のゴリ押しに神社側がこうも簡単に屈するとは驚いた。私はこれまで靖国史観をほぼ肯定してきたが、今回の変更点だけは受け入れることができない。明らかなる事実誤認や誤記を除いて、遊就館にはその歴史観を改めるようなマネをしてほしくなかった。
はっきり言って今回の措置は、靖国を批判する勢力に攻撃材料を与える愚行である。「中韓の抗議には耳も貸さないのに、アメリカの言うことはハイハイ聞くんだな」と言われてしまうだけだ。私も残念ながら、このように突っ込まれたら反論する余地がない。まったく困ったことをしてくれた。
現在発売中の「SAPIO10月11日号」で、よしりんも岡崎氏のこの動きをケチョンケチョンに批判していた。よしりん曰く、岡崎氏は親米を通り越して「恐米」なんだそうだ。だから、シーファー駐日大使やアーミテージ前国務副長官が靖国史観にケチをつけたことに、過剰に反応しているらしい。つくる会の教科書も、現在販売されている版は岡崎氏が反米的と思った個所をザクザクと削ったとよしりんは言っていた。岡崎氏の対中・対韓姿勢には好感が持てるが、さすがに今回の件では呆れ返っている。
先日、アメリカ議会で従軍慰安婦についての決議案が話し合われているというニュースがあった。結局その決議案は流れたそうだが、もし決議がなされた場合、岡崎氏はいったいどうしたのだろうか。これほどまであからさまな親米だと、アメリカが言えば従軍慰安婦も南京大虐殺も認めてしまいそうで怖い。
そういえばこのニュースのその後はどうなったんだろうと気にしていたのですが、
まさかこんな最悪の結果になるとは・・・。
明らかな事実誤認であるわけでもないのに、ケチをつける方もつける方、
それを聞き入れる方も聞き入れる方、ほんとガッカリです。
今後はよしりんのような「反米右翼」の位置の方の台頭を望みます。
親中派にしろ親米派にしろ、向こうの言い分を無批判に受け入れることがよしとされているのが問題なんですよね。
私は、固有の国に過剰に肩入れしたり、過剰に敵視したりすることは控えようと思います。
>佐倉さま
岡崎さんのあの文は、遊就館を見たことがある人なら「幼稚な反米史観? どこが??」と思ったんじゃないですかね。
いずれにせよ、この人は今後要注意ですね。