2005年05月28日

「旧」か「元」か

 今日の東京新聞1面コラム「筆洗」に書かれていた「『ミンダナオ島に旧日本兵』という新聞各紙の見出しに、違和感を覚えた。」という記述を読んで、私は違和感を覚えた。さらにこのコラムは、以下のように続いていく(途中まで引用)。

なぜ「元日本兵」ではなく「旧日本兵」なのだろう。日本兵が「新」「旧」で区別される時代になったのだろうかと▼ルバング島の小野田さんや、グアム島の横井さんが発見された時もその後も「元日本兵」と呼び習わしたはずだ。念のためデータベースで確認すると、まれに「旧日本兵」との混用はあるが、おおかたは「元日本兵」である。歴史のかなたに沈んでいた「軍」や「兵」が現実味を持ち始めた世相のせいか


………。
あの〜、それは考えすぎじゃないっすか?


 東京新聞は、「旧日本兵」って言葉が定着すると、いずれは「新日本兵」が誕生すると危惧しているんだろうか。なんかもう、いらぬ心配というか何というか…。そんな心配している暇があったら、下降線の一途を辿る中日ドラゴンズのことでも心配してなさいよ。

 別に「旧日本兵」という言い方に問題はないだろう。別に「元日本兵」でも間違いではないが、私はこの場合は「旧日本兵」と言ったほうが日本語として適切だと思う。

 勝手な解釈かもしれないが、私は「旧日本兵」という言葉は「旧日本軍兵士」の略だと思うのだ。「旧国鉄」や「旧文部省」「旧第一勧銀」のように、現在は存在しない組織のことを指すときには頭に「旧」が付く。これが「元」では日本語としておかしい。個人を指す場合は「元国鉄職員」でもいいけれど、国鉄という現存しない組織の職員だったということを示すには「旧国鉄職員」と言ったほうが親切ではないだろうか。「旧日本兵」という言葉も、日本軍という組織が今は存在していないという意味が込められているのだと思う。ただそれだけのことだ。

 ところでちょっと気になったので、各新聞が「旧」と「元」をどのように使い分けているか調べてみた。そしたら、ちょっと面白い結果に。

読売…初報から一貫して「元日本兵」

朝日…初報から一貫して「旧日本兵」

毎日…初報は「旧日本兵」。28日朝刊から「元日本兵」

産経…初報から一貫して「旧日本兵」

東京…初報から一貫して「旧日本兵」

日経…初報は「旧日本兵」。27日夕刊から「元日本兵」

ニッカン・スポニチ・報知…初報は「旧日本兵」。28日から「元日本兵」

サンスポ…初報から一貫して「旧日本兵」

(いずれも東京本社発行版。28日付夕刊までの時点による)

 いったい各社がどういう基準に基いて使い分けているのか分からないが、綺麗に右と左には分かれていないのが面白い。読売が「元」で朝日・産経・東京が「旧」、毎日・日経とサンスポを除くスポーツ各紙は途中から方針変更ときている。これを見る限り、特に新聞社間の取り決めにどちらかに統一しようという動きは今のところないようだ。

 しかし、筆洗で違和感を示した東京新聞が、未だに「旧日本兵」で貫いているのも意外だ。もしかしたら夕刊からは変えてくるかなとも思ったが、そうはならなかったようである。筆洗子の思いは現場には伝わっていないのかな? その点でも今日の筆洗はかなりピントがずれた内容なんだろうね。

[補足]

 このエントリを書いていて気付いたが、ウチのMS-IMEだと「旧日本兵」は一発変換できる(単語として登録されている)けど「元日本兵」は「元」と「日本兵」に分かれます。ちなみになぜか、「新日本兵」も一発変換できてしまいます。どうして? 「旧日本軍」は登録されていないのに…。

「ミンダナオ島に旧日本兵」という新聞各紙の見出しに、違和感…(5月28日付け東京新聞「筆洗」)


posted by atsu at 18:37| 東京 🌁| Comment(3) | TrackBack(2) | ニュース−社会 メディア | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
TB&コメントありがとうございました。
本紙の方までは調べませんでしたね。さすがです。
新日本軍について9条を交えて皮肉る内容を書いたのですが、上手くまとまらずに現状の形になってしまいました。
TBがダブってしまったので1回分消しておいて下さい。
Posted by haruhico at 2005年05月28日 20:43
東京新聞が変えないのは、以下の事情が分かっているからではないかと。

東南アジア忘れ去られた旧日本兵
http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20050528/mng_____tokuho__000.shtml

旧日本兵かつ未復員者であるということでしょう。

あと法律的には旧法、旧団体という表現になりますので、旧軍の兵士なら旧日本兵というのが当然の表記かと思います。

それはともかく、普通は逆で、元日本兵がいるなら現日本兵がいるということになるのではないでしょうか(^^;

筆洗子は、旧に対して新国軍を想像した様ですが、そもそも旧軍という言い方自体が、帝国陸海軍という表現のGHQ的言い換えだったんですけど・・・
Posted by Lime Light at 2005年05月31日 15:26
>haruhicoさま

コメント&TBありがとうございます。
以前の原平容疑者のときもそうですが、このように新聞ごとに表記が違ったりするときは、全紙を調べたくなるクセがあるのです。
二重TBについては気になさらないでください。
Seesaa重くて消すの面倒なので、最近は公的良俗に反するもの以外はそのままにしてますので。

>Lime Lightさま

旧日本兵という言葉は日本語的には適切ですよね。当然の表記に対して筆洗子がなぜ違和感を感じたのか、よく分かりません。
元日本兵だと、確かに現日本兵がいるようにも思えますね。
例外的に、再婚していない人の「元夫」「元妻」とか恋人イナイ状態での「元彼」「元カノ」のように「現」がいない場合もありますけどね。
Posted by atsu at 2005年06月01日 00:24
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80歳でも現役
Excerpt: 朝から「東京新聞」を見て激怒。 「東京新聞」5月21日朝刊掲載『筆洗』 http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20050528/col_____hissen_..
Weblog: 社怪人日記2005
Tracked: 2005-05-28 20:21

80歳でも現役
Excerpt: 朝から「東京新聞」を見て激怒。 「東京新聞」5月21日朝刊掲載『筆洗』 http://www.tokyo-np.co.jp/00/hissen/20050528/col_____hissen_..
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