2007年07月21日

「毎日新聞は人殺し!」と言われたらどうします?

発信箱:「非人間性」を問う=広岩近広(15日付毎日新聞朝刊より)

 世界広しといえども大学に平和博物館があるのは、京都市北区の立命館大学国際平和ミュージアムだけだろう。過日訪れたとき、メッセージ性を持つ博物館だと思った。満州事変から日中戦争を経て太平洋戦争が終結するまでの、いわゆる十五年戦争の展示には日本の被害と加害の歴史が刻まれている。

 私は2枚の写真に目を奪われた。ほろのないトラックの荷台に乗せられて中国大陸を日本軍と一緒に移動する慰安婦たち……。その素顔は、はかなげで痛ましい。もう1枚は軍隊慰安所で順番を待って並ぶ兵士を切り取っていた。ここにも人間の悲しさがある。

 2枚の写真を前にすると、昨今の「強制」論議など、私のなかでは吹っ飛ぶ。慰安婦を強制連行したか否かを論じる以前に、日本軍は慰安婦を伴って戦争をした。この事実はまぎれもない。どう考えても人権問題であり、女性の尊厳の問題だろう。こうしたことが公然と許されていたのが「国民精神総動員運動」の進められた十五年戦争で、ここには戦争の本質が凝集されている。

 原爆投下を「しょうがない」と発言して辞任した久間章生・前防衛相は、その講演会で当時の国際情勢などに言及し、こうも述べた。「(原爆投下も)選択肢としては、戦争になった場合はあり得るのかなと」。防衛相は戦時下の残虐行為も「しょうがない」と考えているのではないか、と疑ったものだ。

 戦争には非人間的な考えがつきまとう。だからこの平和ミュージアムは、戦争のもつ非人間性を問い、過去と誠実に向き合おうと呼びかけている。(専門編集委員)





 いささか旧聞に値する記事ですが、「25 o'clock」さんが取り上げていたのに触発されて、私もひとつ書いておくことにしました。

 当該エントリで25時さんがほぼ完膚なきまでに反論してしまっていますが、青い字で示した部分の言い草は本当に酷いです。これまで「日本軍による強制連行はあった」と散々喚いていたくせに、その立証が困難になってくると「強制連行の有無はこの際どうでもいい。慰安婦という存在そのものが悪なのだ」と論点をシフトさせるのだから呆れます。そういうふうに論点をずらすのならば、せめてその前に「日本軍による組織的な強制連行はなかった」ことくらいは認めてからにしてほしいものです。全ての従軍慰安婦肯定派に言えることですが、無責任極まりない言動と言えるでしょう。

 こんな戯言を吐く毎日新聞に対しては、いい例え話があります。

 2003年5月1日、ヨルダンの空港で、持ち込んだクラスター爆弾の子爆弾を爆発させ、空港職員を死傷させた五味宏基という元記者を覚えておいででしょうか。もちろんこれは不幸な事故であり、彼は現地で有罪判決を受けるも国王の恩赦を受け、間もなく釈放されて帰国しました。毎日新聞は帰国後に彼を懲戒解雇し、この事故の処理は全て解決しています。

 今さらこの事件をほじくり返して毎日新聞を叩くこと自体ナンセンスではありますが、もしも

「五味元記者は、毎日新聞社の社命を受けて空港に爆弾を持ち込んだのだ。その目的は、中東における日本の評判を地に落とすため」

と主張する者(以下、Aとします)が現れたらどうするでしょう。しかもそのAがヨルダンまでわざわざ出かけて、ヨルダンの人たちにそういうウソを吹聴して回ったら。亡くなった人の遺族や怪我をした人がAの言うことを信じてしまい、「毎日新聞は謝罪せよ! 賠償せよ! 五味をヨルダンに戻し、服役させよ!」という大合唱になるかもしれません。

 もちろんそれは事実無根ですし、毎日新聞は真っ向から反論するはずです。週刊誌などがこのような記事を載せたのなら、その雑誌を提訴するでしょう。いわれのない汚名を雪ごうとするのは当然のことです。

 毎日新聞は「毎日新聞社が、五味元記者にそのような命令をしたことはない。命令があったと言うのなら、その証拠を出せ」とAに言うでしょう。しかしそこでAは、「毎日新聞がそのような都合の悪い証拠を残しているはずがないので、そんな証拠は出せない。命令をしていないと言うのなら、命令していない証拠を出せ」と、悪魔の証明を要求してくるのです。どうです? メチャクチャな話ですよね?

 まあそれでも、毎日新聞はめげずに客観的な証拠を積み重ね、どういう状況にあっても毎日新聞がそんな命令を出すはずがないという結論が導き出されそうになりました。毎日新聞がホッと一息ついたとき、ところがAは次のようなことを主張するのです。

「爆発で死んだ人の写真を見ていたら、社命があったかどうかの議論など、私の中では吹っ飛ぶ。毎日新聞社による計画殺人だったかどうかを論じる以前に、毎日新聞の記者であった五味宏基が人を殺した。この事実はまぎれもない。どう考えても人権問題であり、命の尊厳の問題だろう」

と。

 こう言われたとき、このコラムを書いた広岩記者は納得できるでしょうか。同じ毎日新聞記者として、五味元記者が人を死なせてしまったことは確かに詫びるべきことであるし、広岩記者だって同じ組織にいる者としての責任は感じたことだと思います。しかし、それが社による組織的犯行だなどというデタラメを言われて、しかもその人間が自説に責任も持たず上のようなコメントをしたのならば、絶対に許すことはないのではないですか? 


 この例え話は、まるっきり慰安婦問題と構図が同じです。Aと全く同じことを、毎日新聞及び従軍慰安婦肯定派は臆面もなく言っているわけです。心の支えとなっているのは、信憑性も疑わしい元慰安婦たちの証言だけなのに、彼らにとって従軍慰安婦はいなくてはならない存在であるので、否定派がいくら客観的な証拠を出しても見向きもしません。挙句、強制連行があったかどうかが問題の核心であるのにもかかわらず、あったかどうかはどうでもいいなどと言い出す。もういい加減にして下さいと言わざるを得ません。

 肯定派の皆さんは、もしかして我々否定派が慰安婦の存在すらも否定していると勘違いなさっているんですかね? 「日本軍は神聖な軍隊なので、性欲などなかった。だから慰安婦という存在そのものがない」とか言っているとでも。彼らはろくにこちらの言論に耳を傾けませんから、そういう可能性も十分にあるなと思いつつある今日この頃です。


posted by atsu at 23:55| 東京 🌁| Comment(0) | TrackBack(1) | 歴史認識 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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