明石海峡で貨物船2隻とタンカー衝突、1人死亡3人不明(読売)
5日午後2時55分ごろ、神戸市垂水区沖の明石海峡で、貨物船やタンカーなど計3隻が相次いで衝突し、貨物船1隻が沈没した。
乗組員のフィリピン人男性9人が海に投げ出され、うち6人は救助されたが、うち1人が間もなく死亡。3人が行方不明となった。第5管区海上保安本部(神戸市)は、巡視船と航空機で捜索し、乗組員から事故の状況などについて事情を聞いている。
沈没したのは、中米ベリーズ船籍の貨物船「ゴールドリーダー」(1466トン)。他の2隻は、「栄政海運」(兵庫県姫路市)所有の砂利運搬船「第五栄政丸」(496トン、乗組員5人)と、「第一マリン」(山口県和木町)所有のタンカー「オーシャンフェニックス」(2948トン、同12人)で、両船の乗組員にけがはなく、自力航行できるという。
同海保によると、3隻とも西向きに航行。オ号が、接近してきた栄政丸との接触を避けようと左にかじを切ったところ、右舷船尾が栄政丸の左舷中央部に衝突。反動でオ号は左に振られ、ゴ号の右舷中央部にぶつかった。調べに対し、オ号の乗組員は「ゴ号にぶつかるのを避けようとして右にかじを切ったが間に合わなかった」と供述しているという。
あたごの事故があったばかりだというのに、似たような事故は続くものですね。6日23時現在では沈んだ船の船長さんも遺体で発見されたようでして、実に痛ましい限りです。
今回は、いちばん小さい船がいちばん大きい船に追突し、その煽りを受けて中くらいの船が沈んでしまいました。オ号にも、海保が発した警告に応答しなかったという過失があるようではありますが、何よりも過失が大きいのは後ろから突っ込んだ栄政丸でしょう。真っ昼間だからいちばん大きいオ号が見えないはずはないのに、狭い海峡を自動操舵のまま高速で航行していた責任は免れません。
しかし、仮にオ号が海保からの警告に応答していたとして、後ろから迫り来る栄政丸を避けるにはどうしたらよかったんでしょうかね。オ号は直前に気付いて左に旋回したようですが、大きい船だけに左を向けば尻が右に出ます。むしろ、何もしなければ左側に弾き飛ばされることもなくなって、ゴ号に玉突き衝突することもなかったのではないでしょうか。あくまで結果論ですが、大きい船が小さい船をよけることの難しさを裏付けるような事故でした。
あたごの事故についても、同じことは言えるでしょう。どうも世論は自衛隊憎しという視点に凝り固まっていて、沈んだ清徳丸には一切過失がないかのような空気になっています。沖縄で米兵に襲われた少女の時と同じように、「清徳丸にも過失があった」なんて発言した日には、集中砲火に晒されるような空気です。だけど、今週辺りからは多少冷静な分析も見られるようになってきました。
今日発売の週刊新潮3月13日号に『「地元漁協」から聞こえてくる「イージス艦だけが悪いのではない」』という記事がありましたが、これを読んだ限りでは、どうやら地元の人は世間よりはるかに冷静に事故のことを見つめているようです。少なくとも、「我々は100%被害者である」という認識はないと思われました。
やはり海を知る人たちの間では、小さい船が大きい船をよけるのが大原則だということです。小さい船のほうが小回りが利くし、スピードも出るからです。法律では「相手の左舷を見ているほうが右旋回してよける」というルールがありますが、そればかりを厳格適用しても仕方ないのです。「大きい船がウロチョロ旋回したらもっと危険。真っ直ぐ進んでくれればこちらがよける」という意見もありましたし、臨機応変に対応しなければ事故は防げないということでしょう。
これは、道路交通においても同じことが言えます。例えば自転車に乗って交差点を直進するときに、左折する自動車が来た場合。このとき、ルールでは左折車が自転車の通過を待つことになりますから、自転車はブレーキをかけずに車の直前を横切ることができます。だけど、時には車の側が自転車を見落としていたり、気付いていても無理に左折しようとすることもあるでしょう。そういう場合は、いくら自転車側に優先通行権があろうとも、自転車側が停まって車を先に行かせる必要もあるのです。こっちが優先だからという意識ばかりでは、いつか車にはねられることになると思います。
船もまた然り。「この場合は向こうがよけなきゃいけないから、こっちは真っ直ぐ突っ切っていいんだ」と高をくくっていたら、やはり衝突事故は起きると思います。海においても道路においても、双方が優先意識を持たずにお互い回避行動を取るようにしなければ、同様の事故は再発するでしょう。
あたごの事故については、詳細な原因究明が待たれます。くれぐれも、自衛隊憎し、軍隊憎しという観点のみで糾弾することだけは避けなければなりません。それでは、何の解決にもなりませんから。



