NHKに賠償責任なし=番組改変で「期待権」否定−政治家影響触れず・最高裁(時事)
従軍慰安婦問題を取り上げた特集番組が政治的圧力で改変されたとして、取材協力した民間団体がNHKと制作会社2社に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(横尾和子裁判長)は12日、NHKと2社に総額200万円の支払いを命じた二審東京高裁判決を破棄、訴えを退けた。団体側の逆転敗訴が確定した。
取材を受けた側の番組内容への期待が、法的に保護すべき権利に当たるかが主な争点だったが、同小法廷は「原則として法的保護の対象にはならない」との初判断を示した。
二審は「国会議員らの発言を忖度して番組を改変した」としたが、同小法廷は「是認できない」と退け、発言の影響があったかには言及しなかった。
訴えていたのは、戦時下の性暴力に関する民間法廷を主催した「『戦争と女性への暴力』日本ネットワーク」。
あまりにも当然過ぎる判決です。一審二審がおかし過ぎたわけですが、最高裁で正しい判決が下されて本当に安堵しました。「期待権」なんてものが最高裁判例として残ったら、この国のマスコミは全て死ぬところでしたよ。
いろんなところで指摘されていますが、これを認めたら政治家や企業の取材がやりにくくなることが必至です。ちょっと考えれば分かりそうなことです。だけど、バウネットには分からなかったんでしょうねぇ。何せ彼女らは、例の民間法廷に取材を申し込んだ産経新聞の記者を門前払いしたくらいですから。「私たちの意向に沿う報道をしないヤツラは入れてあげないわよ!」という姿勢は、まさに中国的北朝鮮的と言うほかありません。彼女らのお友達には北朝鮮の工作員もいますから、それもむべなるかな、と思いますが。彼女らは、報道の自由というものを根本から理解してないのです。
NHKは人民日報や労働新聞とは違い、バウネットの広報機関ではありません。だけど彼女らは確実に、その勘違いを犯してしまっていたと思います。幸いに今はネット社会ですから、自分たちのイベントを意のままに流す方法はいくらでもあります。バウネットは自分たちで録画したビデオを、YouTubeにでも載せてみんなに見せりゃいいんですよ。
まあ、かと言ってだまし討ちのような取材方法が許されてはなりません。今回の件も、例えば「民間法廷を全肯定する立場で番組を作ります」と言っておきながら、蓋を開けてみたら保守論格が雁首揃えてバウネットを叩きまくる番組だった――とかならバウネットが怒っても無理はないと思うんですよ。そこまで酷い改変だったなら、もはや期待権云々という問題以前に、倫理的に許されるレベルを超えていると思います。
しかし、実際に行われた改変は、「昭和天皇有罪!」と断罪して参加者たちがオルガスムスに達したシーンをカットし、泰郁彦先生のコメントに差し替えただけのことでしょう。それでも番組全体では十分にバウネット側に偏っていたわけで、これしきのことで裁判まで起こしてしまう彼女らはあまりにも不寛容です。ま、その不寛容さも中国的北朝鮮的思想の現われでしょうけどね。
さて、当事者のひとりである朝日新聞はというと、今日の社説において「NHKは予算案の承認権を国会に握られており、政治家から圧力を受けやすい。そうであるからこそ、NHKは常に政治から距離を置き、圧力をはねかえす覚悟が求められている。」と書いてます。あくまでもNHKが行った改変は安倍晋三らの圧力によるものであるという自説を崩さず、NHKは政治家の期待権にも抗えと言いたい模様です。取材が不十分だったと認めながらも、未だに虚報だったとは認めない朝日新聞の信念には全く恐れ入ります。
しかし、私に言わせれば安倍さんが言ったことは圧力じゃありませんよ。だって、放送法を遵守するように促しているだけですから。
分かりやすいように話を交通違反に置き換えましょう。とある政治家の息子が、飲酒運転で捕まったとします。そのときに、法に従って処罰しようとしている警察に「あいつは俺の息子だから揉み消せ」と政治化が言ったのなら、それは紛れもない圧力です。許されることではありません。だけど、政治家の息子であることに気兼ねして処罰を躊躇っている警察に「俺の息子だからと気にするな。ちゃんと法に従って処罰しろ」と言ったのならそれは果たして圧力でしょうか。
安倍さんが言ったことは後者です。例の番組があまりにも放送法に反して偏っていることを知ったので、「公平公正にやるよう」に言っただけなんですから。これが圧力と言うのならば、政治家は何も喋っちゃいけないことになると思いますよ。
産経は今日の主張で、「朝日とNHKは最高裁判決を機に、もう一度、自らの記事・番組を謙虚に振り返るべきだ。」と書きました。朝日の虚報についてはすっかりウヤムヤのまま片付けられてしまいましたが、もう一度再検証したほうがいいと思います。NHKと朝日にジャーナリズムの担い手である自覚があるのなら、避けては通れない道だと思いますね。