さて、旅行3日目。この日は朝6時に起きて、宿泊した東横イン熊本水道町電停前から徒歩10分ほどのところにある、熊本電気鉄道藤崎線の藤崎宮前駅を目指します。
熊本市中心部にほど近いところにある藤崎宮前駅は、大きな駅ビルを併設している駅です。ビルにはパチンコ店やレストラン・温浴施設等が入居しており、大ターミナルのような様相を呈していますが、駅の入り口はというと、
片隅にひっそりとあるだけなんですよね。知らない人は、ここが駅だとは思わずに通り過ぎてしまうことでしょう。ちなみに、電車に乗るためには駅ビルの内部に入る必要がありません。駅は完全に駅ビルの外にあります。
入り口から数十メートル進むと、改札とホームがあります。改札と言っても、熊本電鉄では定期券と回数券以外の切符は一切発行していないので、もはやトマソンと化してます。朝早いためか、駅員さんもいませんでした。
第7ランナー 熊本電鉄8列車
藤崎宮前7:10発→御代志7:36着
熊本電鉄6000系電車2両編成 乗車車両…6211A この日は祝日のため、熊本電鉄の始発列車はかなり遅い7:10でした。乗り込んだのは私の他にはおばさん一人だけで、祝日朝の需要の少なさを物語っています。
車両に見覚えのある方もいるでしょうが、熊本電鉄の主力車両である6000系電車は、平成11年まで都営三田線で走っていた車両です。日本国内でこの車両を見られるのは、ここの他は埼玉県の秩父鉄道だけとなっています。
車内はガラガラですが、私は運転席の後ろに立って動画を撮るためにカメラを構えました。藤崎宮前〜黒髪町間にある、併用軌道区間を撮影するためです。鉄ヲタ以外の人のために説明すると、併用軌道とはいわゆる路面区間のこと。昔は地下鉄を走っていた6000系電車が、道路の上をゆっくりと走る姿は圧巻です。しかもここの場合、道路の中央部ではなく家の軒先をかすめるように走るので、さらに異様度が増しているんですよ。
自分でも動画を撮ってきましたが、いまいち迫力がないのでようつべから引用させてもらいます。
ついこないだ、ここはテレ朝の「ナニコレ珍百景」でも紹介されました。
この時間に下り電車に乗る客は本当に少なく、乗客数は最大でも5人までしか増えませんでした。終点の2,3個前の駅では藤崎宮前で一緒に乗ったおばさんも降りてしまって、終点まで乗ったのは私一人だけ。他の客は定期券や回数券での乗車だったみたいなので、この列車の現金収入は私が支払った360円だけでした…。
第8ランナー 熊本電鉄11列車
御代志7:41発→北熊本8:01着
熊本電鉄6000系電車2両編成 乗車車両…6218A 終点の御代志では、わずか5分で折り返します。本来なら、終着駅での折り返しは1本見送ってしばらく駅の観察をすることが多いのですが、この駅は5分もあればじゅうぶんな規模でした。だって、こんなに簡素な駅なんです。
「何だこりゃ?」って感じの駅ですよね。この駅は、ホームの片側が線路で、もう片側がバス停になっている珍しい構造になってます。駅舎も何もありません。その時はバスもいなかったので、子供を送迎する親御さんが車を直接電車に横付けしてました。自家用車のドアから直接電車に乗り込める駅なんて、ここの他には滅多にないですよ。
折り返しの上り電車は、学生を中心にやや利用がありました。
第9ランナー 熊本電鉄7列車
北熊本8:32発→上熊本8:41着
熊本電鉄5000系電車1両編成 乗車車両…5101A 北熊本駅は、本線系統の菊池線と支線系統の上熊本線の乗換駅。本来は、それぞれの列車がほぼ同時に発着してすぐに乗り換えられるようダイヤが組んであるのですが、私は撮影もしたいのでわざと1本見送って次の電車にしました。
ここで走っている電車は、今や動く姿は熊本でしか見られない元東急の「青ガエル」こと5000系電車です。かつては熊本電鉄オリジナルのカラーに塗られていたんですが、平成16年に東急時代の緑一色に戻されました。塗り替えから4年経ったのでさすがにまた汚れてきましたが、逆にこの汚れがいい味を出してます。
写真を撮ってから意気揚々と乗り込むと、
あ、暑い…。なんとこの車両、このご時世に非冷房なんでございますよ。熊本電鉄も一度は冷房改造しようと思ったみたいですが、古い車両なんで断念したそうです。ま、わずか9分間のミニトリップだから耐えられますけど、これが本線系統に使われていたらちょっと厳しいですね。
車両が古く、線路も貧弱なんで走行中はよく揺れました。車内を観察しているうちに、あっという間に上熊本へ着いてしまいましたね。
市電を乗り継いで熊本駅へ 上熊本駅から熊本駅まではJRなら一駅なのですが、市電にまだ乗り残しがあるので市電で向かいます。辛島町で乗り換え、田崎橋まで行きました。田崎橋電停は熊本駅前電停から2つ目にある終点駅ですが、熊本駅からわずか0.6キロの距離にあります。乗客は熊本駅前でみんな降りてしまい、田崎橋まで乗ったのは2人だけでした。田崎橋から熊本駅までは徒歩で戻りましたが、わずか5分で到達できただけに田崎橋電停の存在意義がよく分からなくなりましたね。
これで熊本市電は完全乗車となりましたが、日本初の低床式路面電車、9700形に乗れなかったのが残念でした。何度もすれ違ったりはしたのですが、自分の乗る電車には一度も来てくれなかったのですよ。次に熊本に来る際には、是非乗りたいですね。
第10ランナー 列車番号臨8411D 観光列車あそ1962号
熊本10:12発→宮地12:15着
キハ58系気動車2両編成 乗車車両…キハ28-2401
熊本からは、SLあそBOYに変わってデビューした全席指定の観光列車「あそ1962号」で豊肥本線を東進します。こないだ、地震のせいで陸羽東線の「おもいでの湯けむり号」に乗れなかったこともあり、久しぶりに乗るキハ58系は楽しみでしたね。
観光列車だけに、この車両には自転車も積み込めるフリースペースがあったりしてユニークです。この日は自転車の積み込みはありませんでしたが、車内のテレビでは阿蘇の観光情報や歴史などを放映しており、懐かしい鉄道の映像もあったので飽きませんでしたね。自分の席はワンボックス占領状態でしたが、座っていると眠くなるのでだいたいの時間をフリースペースで過ごしました。立野のスイッチバックは興味津々でしたね。
第11ランナー 列車番号2423D
宮地13:10発→豊後竹田13:53着
キハ200系気動車1両編成 乗車車両キハ220-203 宮地では55分の待ち時間を挟んで、豊後竹田行きの普通列車に連絡。車両は、ゲテモノ臭が強い
キハ220形200番台でした。路線バスと同じ大きさの馬鹿でかい電光掲示板がアンバランスで、何ともブサイクな面構えをしてます。キハ200の基本番台はハンサムな顔立ちなのになぁ。
しかし、この車両が装備しているUV96%カットの熱線吸収ガラスはすごいですな。817系電車にも装備されていますが、このガラスを装備した車両にはカーテンやブラインドが付いていません。外は快晴で陽射しも強いんですが、このガラスを通すとまったく暑さを感じないんですよね。他の乗客によってカーテンを全て閉められると旅の楽しみが半減しちゃうので、これはすごい技術だと思いました。JR東のE231とかも熱線吸収ガラスを使ってはいますが、若干ジリジリする感じはするんですよね。
第12ランナー 列車番号4449D
豊後竹田13:57発→大分15:24着
キハ200系気動車2両編成 乗車車両…キハ200-1105 豊後竹田では、わずか4分の接続で大分行きに乗り換えでした。今度のキハ200は普通のガラスを使用しているため、カーテンを閉めないと肌が焼けるように暑く感じました。それまでは晴れていたのに、中判田駅に着いた時だけ突然豪雨になって驚きました。
徐々に客を集めながら、定刻通りに大分へ到着。前日に大分を出たのが11:17だから、28時間7分で戻ってきました。
第13ランナー 列車番号3042M 特急ソニック42号
大分15:39発→小倉17:07着
883系電車7両編成 乗車車両…クモハ883-4(7号車)
青春18きっぷの利用は大分でいったん終わり、ここからは特急で帰り足につきます。883系に乗るのは初めてでしたが、7両編成のうち4両が自由席車というのは利用しやすくてとてもよいです。並ばなくても余裕で海側の座席を確保することができましたが、聞けばソニックはわずか2日前の7月19日から全編成が7両編成化されたとのこと。それだけ利用も多いんだなと痛感しますね。
車内では、新聞を読んだり「日本のスイッチ」の回答をしたりして過ごしました。かなり快適で、小倉までの1時間半はあっという間でしたね。
第14ランナー 小倉モノレール141列車
小倉17:16発→企救丘17:35着
北九州高速鉄道1000形4両編成 乗車車両…1408 あとは帰るだけ…と思いきや、まだまだミッションはあるのです。新幹線に乗るまでの時間を有効利用して、まだ乗ったことがない小倉モノレールを片付けてしまいます。
小倉モノレールの何がすごいって、駅ビルの中までモノレールが直接乗り入れていることですね。
外から見るとこんな感じですが、改札を出て上を見るとモノレールがいるのにはびっくりします。
車内は空いていましたが、終点の企救丘までずっとかぶりつきを楽しみました。企救丘と書かれても、普通の人は読めませんよね。「きくがおか」と読みます。企救丘駅を出てすぐのところには、創価学会の施設がありました。周辺の地名は「志井(しい)」なのに、創価学会とはこれいかに?
第15ランナー 列車番号972D
志井公園17:49発→城野17:57着
キハ40系気動車2両編成 乗車車両…キハ147-54 企救丘からはモノレールで折り返さず、歩いてすぐのところにあるJR志井公園駅から日田彦山線で帰りました。短距離ですが、再び青春きっぷの出番です。
第16ランナー 列車番号5574M
城野18:03発→小倉18:10着
415系電車4両編成 乗車車両…クハ411-108 日田彦山線の972Dも小倉行きなのですが、下関行き5574Mのほうが先に城野を発車するというので急遽乗り換えました。予定より3分早く着くだけですが、時間は大事ですから。
第17ランナー 列車番号674A こだま674号
小倉19:04発→岡山22:04着
0系新幹線電車6両編成 乗車車両…26-7011(4号車) え〜、ここからは最後のメインイベントとなります。サンライズに乗り継ぐ岡山まで乗車する新幹線は、なんとオリジナルの塗色に戻された0系なのでありました。
本当は、ひかりレールスターあたりで帰ろうと思っていたんですよ。だけど、どの新幹線に乗ろうかと時刻表を開いて調べていたら、この列車が目についたんですね。「あれ? この列車ってもしかしたら…」と思ってウィキペディアで調べると、何とビンゴ。0系の使用列車だったのです。
知っての通り、0系は今年11月いっぱいでの完全引退が決定しています。オリジナル塗色へ戻されたのはそれに向けたファンサービスなのですが、最後まで乗る機会はちょっと作れそうにないなと半ば諦めていたんですよ。だから、今回うまく乗れたことは非常によかったですね。これで、0系については思い残すことはないです。
最後の記念だからと思い、わざわざ指定席を取りました。でも、乗ってみたら客は3人しかいませんでしたよ。まあ、私のように岡山まで3時間もかけて行くような酔狂な人間は鉄ヲタくらいだから、短距離乗車しかしない一般人はまず指定なんて取りませんよね。しかし、もう少し鉄ヲタで混雑していると思っていたので、かなり拍子抜けでした。
こだまは後続列車を先に通すために何度も長時間停車しますが、わざわざ降りて写真を撮っている鉄ヲタも数人しかいなかったです。引退時期が近付けばもう少し増えるでしょうが、正式に廃止が決まっていない富士ぶさにあれだけヲタが群がっていることと比べると、実に意外な感じがしましたね。
空いている車内は実に静かでしたが、私は3時間の間ずっと起きてました。なぜか、夜になると眠気に苛まれることもなくなるんですよね。私の体って不思議です。
岡山に到着後、写真と動画を撮りながら0系に最後のお別れをし、ホームを後にしました。
第18ランナー 列車番号5032M 寝台特急サンライズ瀬戸
岡山22:33発→東京7:08着
285系電車14両編成 乗車車両…モハネ285-201(12号車) 岡山からは、もう何度乗ったか分からなくなったサンライズで帰京します。座席も、もう何度目か分からないノビノビ座席です。
疲れたのですぐに歯を磨いて就寝しました。硬いカーペットの床にも、もうすっかり慣れて体が痛くなることもなくなりましたね。
朝に目が覚めると、20分ぐらい遅れているとの由。今回の旅行はこれまで一分たりとも送れずに来たのに、最後の最後で遅れが出るとは思いませんでした。ま、20分程度の遅れなら特に影響はないのでいいんですが。
というわけで、今回の旅行記はこれにて完結。最後まで読んでくれた人はありがとうございました。さて、次はどこ行こうかな。青春が3日分余ってるし、長電の「ゆけむり」にでも乗りに行こうかな♪