「戦車道は乙女のたしなみ―――」。いきなり何のことかと思うだろうが、これは現在放送中の「ガールズ&パンツァー」というアニメに出てくる言葉である。このアニメの世界では、戦車に乗って戦う「戦車道」という競技があり、それが華道や茶道と肩を並べている。なんと流派や家元まであるのだという。
▼昨晩、試しに見てみて仰天した。うら若き女子高生たちが、戦車に乗り込んで市街戦を繰り広げている。周囲には観客席まであり、まるで甲子園に出場した地元校を応援するがごとく、街ぐるみで声援を送っていた。いやはや、まことに狂った光景と言わざるを得ない。
▼安倍晋三氏が自民党の総裁に返り咲き、石原慎太郎都知事が新党を結成して国政に復帰しようとしている昨今、またぞろ憲法改正の企みが蠢(うごめ)いてきている。こんな折にこのようなアニメが放送されること自体、他意を感じずにはいられない。このアニメは、若者たちに兵器への抵抗感をなくさせ、戦争をかっこいいものだと錯覚させるに違いない。かわいいキャラクターの裏に隠されたどす黒い陰謀に、戦慄を覚える。
▼主人公の名字が「西住」というのも気になった。これは恐らく、日中戦争において軍神とされた西住小次郎戦車長に由来しているものと思われる。映画や軍歌の題材ともなっているが、戦争賛美に利用された人物の名前をさりげなく使うのも一種の刷り込みと言えよう。実に卑劣なやり口である。
▼とは言え、作中でとある生徒の母親が「戦車道なんて野蛮だ」と言って戦車道をやめさせようとするシーンがあったのはせめてもの救いであった。狂った世界観の中にこういった常識的思考の人物を登場させることが、アニメ制作者たちの良心であると信じたい。
久しぶりに朝日新聞の論説委員になったつもりでウソ記事を書いてみました。実際に朝日や反戦サヨクの人がガルパン見たらどう思うのか、感想が聞きたいですねえ。
昨夜放送された第4話はかなりの神回でした。戦車がぬるぬると動く動く。実に面白い戦闘を見させて頂きましたわ。まさか大洗の街中でドンパチやらかすとは思ってなかったので、意外性も◎でした。
惜しむらくは、せっかく街中が出てきたのに鹿島臨海鉄道が出て来なかったことですかねえ。せっかく、アニメ放映開始とほぼ同時に「ガールズ&パンツァー記念乗車券」なんてのを発売してるのに。戦車がディーゼルカーをぶっ壊して、
「ぎゃーー、ウチの車両がーー! よし、これで新車が買えるっ!」
ってやって欲しかったです。
このエントリを読んで気になった方、第4話は木曜からGyaOで配信、BS11では土曜23時から放送ですから、まだ間に合いますよ〜。