UCバークリーの倉庫に日本人戦没者?の遺骨 30年以上も放置か(産経)
【ニューヨーク=松尾理也】全米有数の名門大として知られるカリフォルニア大バークリー校の人類学博物館の倉庫に、第二次世界大戦の激戦地、サイパン島で自決した日本人などと記述された複数の人骨が収蔵されたままになっていることが明らかになった。
地元紙サンフランシスコ・クロニクルによると、頭骨を含む3体の人骨と、いくつかの頭骨のない人骨が木箱に収納されていたという。木箱には、採取地として「サイパン」と明記され、「米軍の進攻の際に自決を遂げた日本人」などの説明が付されてあった。
大学側によると、これらの人骨はすでに故人となっている海軍医が1974年に寄付した。それ以前は、同医師が個人的に保管していたとみられる。
戦争犠牲者の遺骨が博物館の倉庫に収蔵されたまま、いわば、たなざらしになっていたとすれば、敬意や厳粛さを欠く取り扱いといえる。バークリー校近くを選挙区とするナンシー・ペロシ米下院議長(民主党)の事務所は、クロニクル紙に「経緯に重大な関心を持っている」と述べた。
また、カリフォルニア州のグロリア・ロメロ州上院議員の事務所は「いわばクローゼットに骸骨があったようなもの。人間の尊厳を冒すものだ」と、日本への謝罪と遺骨の返還を求める方針を明らかにした。
クロニクル紙は、第2次大戦中に、日本兵などの戦死者の遺骨を記念品として持ち帰る行為が米軍の中で珍しくなかったと指摘。戦争犠牲者の保護を定めたジュネーブ条約違反の可能性もあると問題提起した。
これに対し、大学側は「人骨の身元が日本人と判明したわけではない。兵士か民間人か、どんな状況で死亡したのかという情報もない」とした上で、ジュネーブ条約は戦時捕虜に適用される国際法であり、身元不明のままでは条約違反とはいえないと反論している。しかし問題を真剣に受け止め、米政府当局などと連絡を取っているという。
在米日本大使館も「厚生労働省をはじめ日本の関係省庁と連絡を取り、情報収集を行っている」と関心を寄せている。

「はだしのゲン」に、原爆犠牲者の頭蓋骨を嬉々として買い求める米兵が描かれていますが、実際に遺骨を記念に持ち帰る行為ってポピュラーだったんですね。仮にも自分たちが追い詰めたことで死んだ人たちですし、怨念がこもっていそうで恐ろしいですが、アメリカ人にはあまりそういう意識はなかったのでしょうか。
何年も倉庫の中に人骨をたなざらしというのも褒められた行為じゃないと思いますが、かつての戦地には今も戦死した日本兵たちの遺骨がそのまんま放置されていることを考えると、屋内で保管されているだけマシなような気もします。
遺体を必ず持ち帰るのが鉄則の米軍に比べ、我が日本軍はあまりにも遺体をおざなりにし過ぎでした。確かに戦死者の魂は靖国へお祀りされていますが、だからと言って遺骨をないがしろにしていいわけではありません。しかしながら日本政府は、あれこれと理由をつけては遺骨収集をサボってきました。そして60年以上が経った今でも、祖国の土に返れない日本兵たちはたくさんいます。
そんな中、野口健は素晴らしい活動をしてますね。
靖国神社で戦没者の遺骨収集を考えるシンポジウム(産経)
先の大戦で亡くなり、いまなお異国の地で帰国を待つ戦没者の遺骨収集を考えるシンポジウム(産経新聞社主催)が24日、東京・九段の靖国会館で開かれ、約300人が参加。事業の現状や今後の課題について活発な意見が交わされた。
本土以外の戦没者は約240万人。戦後60年以上たった現在も、その半数が未帰還のまま。昭和27年度にスタートした国の収集事業もここ数年は、情報の減少などで停滞が続いている。
アルピニストで、昨年からNPO法人「空援隊(くうえんたい)」に参加して遺骨収集問題に取り組んでいる野口健さん(36)は、「どれほど祖国に帰りたかったろうなと思う。関係者の高齢化が進み、もはや時間がない。いま必要なのは、『絶対に祖国へ帰す』という決意だ」と力を込めた。
東部ニューギニア戦友遺族会会長の堀江正夫・元参院議員(94)は、「かつては戦友たちが、『ここに(遺骨が)ある』と覚えていた。だが、こうした関係者は年々少なくなるばかり。命ある間に、1体でも多く日本に迎えたい」と訴えると、参加者からは大きな拍手。
会場では、かつてシンガポールに住んでいた東京都板橋区の佐藤久美子さん(63)が、「現地ではいまだに葬られていない遺骨が多いと聞いて胸を痛めていた。関心を持って見守り続けていきたい」と語った。
今、野口さんほど遺骨収集に熱心な人はいないと思います。登山で鍛えた体と経験が、南洋のジャングルや洞窟の探索にも生かせているのでしょう。二度とエベレストに登れなくなってもいいという覚悟でチベットを弾圧する中共を批判もしているし、勇気あるお方だと思います。
民主党政権になったら国立追悼施設などという中身のない空虚なハコモノが造られるかもしれませんが、そんな金があったら遺骨収集に使って欲しいものです。せめて陸上にある遺骨だけでも全て日本に帰さない限り、遺骨を記念に持ち帰る米兵を批判はできないと思いました。